naoko tomioka 富岡直子

 
top information biography works bibliography contact  
English sula japanese  
文献一覧へ

清冽な光の芸術

 絵画をその時代の美術の潮流とシンクロさせて描く画家がいるとするなら、富岡直子はその対局に位置する。1996年にはVOCA奨励賞を受賞している彼女の作品には、誤解を恐れずに言えば、難解さはかけらもない。まず見るものは透明感に満ちた“光”の充溢に素直な驚きと感嘆を覚えるだろう。類縁や関連性を指摘しやすい作家の多いなかで、彼女の独自の作風は異彩を放っていると言える。
 富岡は地塗りをジェッソで行い、アクリルを主体に色彩を重ねていく。相互に浸透するようなグラデーションと発色の良い透明感はアクリルの特性をまさに生かしたもの。色彩の構成は計算された論理性より、むしろ自然なしなやかさといったものを感じさせる。「描くというより彫り起こしていく感覚に近い。描いているうちに、もともと画面にその色や形があったんじゃないかと思えてくるんです。そう思えてくるまで筆を置けない」。
 隠された神性や聖なるもののアウラを描き出していくという点では、表出の仕方はまったく異なるものの、ルドンやカンディンスキーらが古典や民俗に題材を得た作品群を彷彿させる。「私は、作品を見ることにより、見るもの自らの闇のなかに重ねた光を照らし出し認識するきっかけとなることを望む」。彼女の作品を見ながら、20世紀以降失われてしまった絵画の可能性に思いをはせたい。  

(無署名 美庵vol.24(C)藝術出版社)


(c)Copyright 2007. Naoko Tomioka All Right Reserved.